ピカピカの一年生シリーズ第2弾です。今回は「物」の「引き算」です。前回は「数字」の「足し算」でした。私の尊敬する設計者、小堀さんのホームページのアーカイブから引用してお届けします。設計者の基本というか、全ての仕事をする人の基本になることと思います。普段たくさん計算していると思いますが、その計算について少し注意するべき、という内容です。「物」の計算と前回の「数字」の計算を理解していただけると幸いです。
引用部分は太字緑色と””で示していきます。
小堀さんからの問題 物の引き算
もうほとんど引用で申し訳ないですが、シビれるんです、小堀さんの記事。小堀さんが問題を出しています。みなさんも考えてみてください。数の足し算とはちょっと違う、物の引き算の重要な考え方を示してくれます。
小堀さんは「新人さんは大学で難しいことを習っているのに、現実世界で多用される引き算はおしえていないのだろう、簡単すぎて。」と皮肉たっぷりに述べています。そして、以下の問題を出します。
皆さんも少し考えてから、読み進めてみてください。
下の 空間の中に 物を入れようとしています
すき間を 物の引き算で 求めて下さい
図中 全高 15 地板5 台車4 パーツ 3 天板 2 (単位なしです

答えは どうでしょう
こんなこと やってくるのが居ます—-(得意に満面の笑顔ですが)
15-5-4-3-2=1 ----Aとか
15-(2)-(5+4+3)=1 ----Bとかです
はぁ そうですかってな物です 間違っているとは 言いませんが
基本的には だめです
三角関数や 微積分は出来るのですか それで引き算の答えがAやBなのですか

正解は・・・
答え
(15-2-5)-(4+3)=1 が 正解です
詳しく書くと
15-2-5=8 4+3=7 8-7=1 です
物の計算は「意味」を持たせる

小堀さんの解説を要約して示します。
求めるのはスキマですよね。なんのスキマかというと、建屋の空間と荷物を積んだ台車のスキマです。
建屋の空間は、全体から地板と天板を引いて 15-2-5=8
パーツを積んだ台車は、台車と荷物を足して 4+3=7
よってスキマは 8-7=1
ここでは3つの式を使っていますが、それぞれ意味があります。意味をもった計算の必要性を説いているのです。
12-2-5=8と4+3=7にも意味がある
「物」の「引き算」について小堀さんは基本的に上から順番に引くべきであるとおっしゃっています。
全体から引くのは、上にある天板、次に下にある地板の順です。
12-2-5=8が正解であり、12-5-2=8ではだめです。
一方、「物」の「足し算」については、下から順番に足すべきであるとおっしゃっています。
台車の上に物があるので、台車から順番に足します。
4+3=7が正解であり、3+4=7ではだめです。
この場合はこのような順番になりましたが、場合によっては逆になることもあると思います。大事なことは、現物に即して計算することです。
意味をもたせるのは「次に利用するため」

答えは 1です それでいいのですか---答えを出しているだけなのです
お客さんが 答えをのみを望んだとしてもです
その答えは 何なのです
物のすき間なんでしょ
穴と 軸の 関係なのでしょ
だったら はじめから 穴8-軸7=すき間1 で計算しませんか
でた答えは 何かに使わないと 答えだけでは 全く意味がありません
普段の生活では特に計算の順番など気にしなくていいと思うのですが、機械設計者の場合はそうはいきません。計算過程は食事を盛るためのお皿のようなものであり、食事(仕事)の種類が違っていても使いまわして使用できます。
よって、使いまわせるように意味をもたせ、意味を持たせるために、順番を決めます。
意味のある計算をすることで、次に利用できますし、計算のチェックもやり易い。
例えば、さっきの隙間の問題
台車の上のパーツの高さが3から2に変更になった場合、4+3が4+2に変わることがすぐわかります。
足す順番が決まっていることに対して、小堀さんは建築基準法の式を上げています。
短期応力は
積雪時G+P+S 暴風時G+P+W 地震時G+P+S+K となっています
決めた方が理解しやすいでしょ
これって最近DISられてなかった…?

こういうことをdisっている人たちを思い出しました。
下のような小学校の問題の回答についてです。
問題「積み木が2つありました。初めに高さ4 cm の積み木を置きました。その上に3 cmの積み木を置きました。積んだ高さは全部で何 cmですか?」
式「3+4=7」 答え「7 cm」
先生「順番が違うのでバツです。」
これはおかしい!とみんな批判していました。
しかし、機械設計者にとってはおかしくないんです。最近はこういうことを教えないんですって小堀さんはおっしゃっていました。
小堀さん、今の小学校の教育で教えようとはしていました。ただ、その正しい意味が伝わっていないのだと思います。
小堀さんの愚痴にも似た主張を紹介します。
物の足し算 数字の引き算を ジャンプしてますので
わかりにくかったかもしれませんが
この程度のことは 誰も教えてくれないはずです
しかも 1年間で 何千回と計算してると思います
この 理解と能率を上げることは 多少の物品のVA より 遙かに有効と考えるのですが
いったい 設計環境を作れる人は どう認識をしているのでしょう
たぶん 引き算ぐらい 誰でも出来るヤ無いかッテ
また わからなければ知識を 教えたらそれで 出来るとでも思っているのですか
そんな レベルなんです
ハハァ ここいらの 教育をやり直してもらわんと---ちょっと言いすぎですか 小堀低頭
まとめ
「物」の計算は意味を持たせるために順番を決める!
意味を持った計算は応用できます!
そして、最後に小堀さんの一言を載せて締めたいと思います。
だって 「いつまでもピカピカの一年生です!」 って 言える立場ですか?
---だったら良いのですが
設計1年生は基本の基本を覚えてくださいませ
---「物の引き算」 頑張って下さいませ
次回は「指の指し方」です。この記事を読んでから、私も指差し確認をするようになりました。その重要性について、小堀さんの記事を紹介します。
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