公差解析01 公差の足し算引き算 エクセルや標準偏差σを扱う前に基本を確認

公差解析

部品を実際に計測すると、計測した寸法には必ずバラツキがあります。それを規制するのが寸法公差です。その公差を持った部品を組み合わせると公差が累積していきます。たくさんの部品を組みあわて最終的に隙間に部品を入れようとしたら入らない!なんてこと、考えられますよね?

これを入るように公差を考えていくのが公差解析です。今回は入門編として、公差を足したり引いたりするということはどういうことなのか見ていきます。

ワーストケースや標準偏差σを考慮した二乗和平方根(RSS)、エクセルを利用した公差解析の前段階として理解することをオススメします!

公差のある寸法のものを組み合わせたものは当然公差がある

この感覚をまずは覚えた方が良いです。設計を始めたばかりの頃は、部品単体で記入されている寸法公差は意識するのに、組立図になると途端にそれらの公差が頭から離れてしまいます。

組み合わせた部品は公差も組み合わさります。そのことを累積公差とか積み上げ公差とか集積公差とかいいます。

では、公差はどのように累積していくのでしょうか?

ここに幅3( +0.1 〜 +0.2 )と幅4( −0.2 〜 +0.1 )の部品があります。これを二つ組み合わせた時のことを考えます。

公差の足し算

公差の足し算は比較的簡単です。

これらの部品をぴったり横にくっつけた場合を考えます。

まずは普通に足してみる

まず、幅3の方ですが、この公差は( +0.1 〜 +0.2 )ですので、取り得る値の範囲は 3.1 〜 3.2 です。

一方、幅4の公差は( −0.2 〜 +0.1 )ですので、取り得る値の範囲は 3.8 〜 4.1 です。

よってくっつけた後の幅は、それぞれの値の最小値同士、最大値同士を足し合わせて

( 3.1 + 3.8 )〜 ( 3.2 + 4.1 ) → 6.9 〜 7.3 となります。

これを公差の足し算の考え方でやってみましょう。

公差のままで足してみる

公差の足し算は上のように公差の最大値、公差の最小値同士を足し合わせます

結果は7 ( -0.1 〜 +0.3 )です。これは 6.9 〜 7.3 ですから、先ほどの答えと一致しています。よって公差の足し算は公差も最大、最小ごとに足せばオッケーです。

公差の引き算

公差の引き算に関してはやり方が少しだけ特殊です。

この部品を片側をぴったり合わせて並べたときにできる段差の寸法を考えます。

まずは普通に引いてみる

足し算と同様ですが、幅4の公差は( −0.2 〜 +0.1 )ですので、取り得る値の範囲は 3.8 〜 4.1 です。

次に、幅3の方ですが、この公差は( +0.1 〜 +0.2 )ですので、取り得る値の範囲は 3.1 〜 3.2 です。

答えの最小値幅4の最小値から幅3の最大値を引いたとき

答えの最大値幅4の最大値から幅3の最小値を引いたとき、ですので、

( 3.8 – 3.2 )〜 ( 4.1 – 3.1 ) → 0.6 〜 1.0 となります。

これを公差の引き算の考え方でやってみましょう。

公差のままで引いてみる

公差の引き算のやり方は、足し算と少し違います。先ほど述べた通り、最大値と最小値を入れ替えて引くのです。

結果は1 ( 0 〜 -0.4 )です。これは 0.6 〜 1.0 ですから、先ほどの答えと一致しています。よって公差の引き算は引く方の公差を逆にして引けば良い、という事になります。

引く数にマイナス公差がついている場合も入れ替えて引く

例えば、幅3( +0.1 〜 +0.2 )の代わりに幅3( -0.2 〜 -0.1 )を引く事にします。

この場合も同様に引けばオッケーです。引かれる寸法の最大から引く寸法の最小を引くと結果の最大が出てきます。その逆もしかり。

つまり、公差の最大値は +0.1 – (-0.2) = +0.3、最小値は -0.2 – (-0.1) = -0.1となります。

新しい幅3の公差は( −0.2 〜 -0.1 )ですので、取り得る値の範囲は 2.8 〜 2.9 です。ここから同様の手順で計算を進めて答えを確認してください。

まとめ

公差の足し算は普通に、引き算は引く数の公差を入れ替えて計算する!

余談

実はこの計算方法、公差解析にはあまり使いません。

使いませんが、公差を足したり引いたりするとどうなるのか?というところは理解してからすすんだほうがいいと思いますので、まとめています。

次回はワーストケースと二乗和平方根(RSS)について触れていきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました