トルクと動力01 トルク(モーメント)と動力(馬力)の関係を簡潔に、数式を使わず、しつこく例えて表現する

トルクと動力

トルクと動力の関係性について、理解するのが難しいと感じています。

初学者の方にとっては必ずぶち当たる壁ですね。

車に詳しい人であれば理解も早いと思うのですが、自分は機械設計の癖に車はあまり得意ではないので、理解するのがとても大変でした。

そんな昔の自分へ向けて、トルクと動力の説明について、私なりに簡単に、かつしつこく例を出して表現してみました。数式も使っていないです。

また、回転速度についても、時間との関係性をみながら整理してみました。

イメージを持つことが大切 どんなイメージ?

物理や工学全般に言えること(だと自分で思っていること)ですが、イメージが大事です。

言語的な記憶は(自分は)全く定着しないからです。

トルクってこんな感じ!動力ってこんな感じ!っていうのを具体例でどんどん説明していきたいと思います。

理系、工学系をしっかり学んでいる人からは、総ツッコミが入りそうな記事ですが、恐れず書いてみました。難しい数式をいきなり出されて困っている方向けです。

初学者の理解の助けになれば幸いです。

トルク=モーメント は 瞬間的なネジルちから

トルクのイメージは「物を回すときに中心部にかかる瞬間的なネジルちから」です。

野球のバットの端と端を2人で握って、お互い反対方向に回そうとすると、負けてしまうのはだいたいバットの持ち手側、つまり細い方をもっている人です。

トルクとは、回す力中心からの距離掛け算です。

バットを持った2人の力に差が無い、つまり回す力が2人とも同じだとすれば、中心から距離がある太い方を持っている人が大きいトルクをかけることができて有利。

この時にバットの軸中心の気持ちになって考えてみると、太い方から回される力が強いことが想像できますかね?

 

ちなみにモーメントという言葉もよく聞くと思いますが、モーメントはトルクと同意と考えて良いです。

ちなみに○○モーメントというと、全然別の意味合いが出てきます。ねじりモーメント、曲げモーメント、慣性モーメント、断面二次モーメント・・・ここでは省略しますね。

瞬間的というのは時間を考慮しないということです。

ネジる力を加えた時に写真を撮って、その時に中心にかかっているがトルクだと思ってください。

時間についてはこのあと解説します!

動力≒馬力 は ねじる力の持続力

動力のイメージは「回そうとする力をキープする持続力」とでも言いましょうかね。あるトルクをどれだけの時間かけていられるか、をあらわす数字です。

馬力は動力と同じ意味を持つ言葉と考えていいのですが、一般的な動力の単位と馬力の単位では換算が必要です。ここではほぼ同じ(≒)という表現をさせていただきました。

大きなプロペラにハンドルがついていて、手でハンドルを回すと大きなプロペラが回るような機構を想像してみてください(当然減速装置が入っていることが前提です)

プロペラをあるきまった速度まで早く回すには、ハンドルをクルクル回しながらずーっと力を入れていないといけません。この回す強さと時間から動力が計算できます。

トルク(モーメント)との最大の違いは「時間」です。

同じトルクを長時間維持できるのであれば動力が大きいと言えます。

実は重要 ネジっている時間について

動力(馬力)の説明の中で、時間の概念が出てきました。ここで出てきた時間について確認しておきたいと思います。

トルクと動力に関係している時間がどの時間をさしているか?それは「回す力をかけている時間」です。

先ほどの例えで出した、大きなプロペラを回転させるハンドルを想像してみます。

ここで、プロペラが止まっている状態からある一定のスピードまで回転させる方法を2つ考えてみます。

1つ目は、少ないトルクで長い時間をかける方法です。例えばインドア系男子が長い時間をかけてハンドルを一生懸命回して、やっと規定のスピードに到達させることができた、という状況を思い浮かべてください。

ずーっと力をかけながら段々とプロペラが早くなっていくのが想像できましたでしょうか。

2つ目は短い時間で大きいトルクをかける方法です。筋肉モリモリマッチョ男子がフルパワーを使って一瞬にして規定の回転速度に到達した、という状況を思い浮かべてください。

モリモリマッチョなので一瞬で、インドア系男子のスピードに追いつきました。

この2つの方法ですが、どちらも結果的には同じ速度でプロペラが回っています。

ですので、これは全く同じ動力を与えた状態と言えます。

 

「瞬間的な力であるトルク時間を考えることによって動力になる」

というのが、トルク、時間、動力の関係性のまとめになります。

トルク(モーメント)、動力(馬力)、時間の関係性 同じ○○ならどうなるか?

それではここで、トルク、動力、時間の三要素の関係性を比べながら理解していきましょう。

同じトルク(モーメント)なら・・・

トルク、つまりかかる力が一定の場合、時間や動力はどうなるでしょうか?

動力は持続力ですので、おなじトルクの場合はかけている時間が長ければ長いほど動力は大きくなります

インドア系男子でも時間をかければプロペラを早く回すことができましたよね。

時間が短ければその分動力は小さいです。

同じ時間なら・・・

では時間が変化しなかった場合を考えます。回す時間に制限がある場合ですね。

おなじ時間ですので、かかる力であるトルクが大きいほど、持続力である動力は大きいです

トルクが小さければおなじ時間の動力は小さいと言えます。

おなじ動力(馬力)なら・・・

これが一番わかりにくいところですが、持続力である動力が同じであるということはどういうことでしょうか?

先ほどのインドア系男子と筋肉モリモリマッチョ男子の例がこの場合に当てはまります。

持続力である動力が同じであるならば、大きいトルクで短時間でも、小さいトルクで長時間でも、その動力は変わりません

理由あって「時間」ではなく「回転速度(回転数)」で考えます!

先ほどから時間の概念が出てきていますが、トルクと動力を説明する場合、通常では回転速度(回転数)という表記をすることが多いです。

回転速度とは何か? 時間との関係性がちょっと特殊です!

回転速度は決まった時間に何回まわったか」を意味します。

時間の決め方により単位が変わりますが、よく聞くのは1分間あたり何回まわったか、という単位であるmin-1です。これが回転速度と呼ばれています。

昔の人や車に詳しい人はrpmというのをよく聞くと思いますが、これもmin-1と同じ1分間に回る回数を示しています。ですが、これは回転数と呼ばれており、現在の単位では使用できないことになっています。SI単位としては規定はありませんが、使用を認められています。

そうは言っても、rpmってたくさん使われています・・・。これは単位系の話になってくるのですが、別記事で解説します。

回転速度は一見時間の逆数にも見えますが、そうではないようです。回転速度は「1回転当たり」の時間の逆数となります。

「1回転当たり」というのが混乱を招きやすいのです。全く別物として考えましょう。

回転速度と時間との関係性は特殊です。イメージや事例を確認することによって理解していきましょう!

ここで頑張って回転速度を導入すると、計算がかなりスッキリします。これは別記事で説明しますね。

回転速度のイメージ 回るスピードです!

回転速度のイメージは「回るスピード」です。文字通りなので、イメージではないですが・・・。

例えば遊園地のコーヒーカップで1秒間に1回転するモノと1秒間に2回転するモノを考えてみましょう。

1秒間に1回転するコーヒーカップって相当飛ばされそうです。1秒間に2回もまわったら多分ふっ飛びますね。この回転速度を計算してみます。

この二つのコーヒーカップの回転速度は、1分間に何回まわるかを考えれば良いので、60min-1と120min-1となります。

このように回転速度は数値が大きいほど早いと言えます。

それにしても、1秒で2回転するコーヒーカップってやばいですね!

回転速度で考えると、トルクと動力の関係性はどうなるか?

それでは「時間」の代わりに「回転速度」で考えるとどうなるか、みていきましょう。

まずトルクが一定の場合時間が長いほど動力が増えました。

ここで時間を回転速度と置き換えて考えます。

回転速度は回すスピードでした。同じトルクで早く回した場合と遅く回した場合、どちらが持続力である動力が大きいか?

同じトルクなら、早く回した方が持続できてパワーがありそうですね。

実際その通りで、「回転速度が大きいほど動力が大きい」ということになります。

 

続いて、回転速度が一定の場合はどうなるか?おんなじ回るスピードの場合はどうなるかです。

これは同じ時間ならどうなるか?と聞いているのと全く同じですので、先ほどの結論とは変わらず

「かかる力であるトルクが大きいほど、持続力である動力は大きい」となります。

 

最後に動力が一定の場合を考えます。

小さいトルクでは長時間必要ですが、大きいトルクでは短時間で済みましたね。

時間の代わりに回転速度を使うと持続力である動力が一定の時はどうなるか考えてみましょう。

ギヤ付きの自転車を想像してみてください。

三段階ギヤの中で一番軽いギヤでペダルをこいた場合、つまり小さいトルクしかかけられなくても、ペダルをこぐスピードが速ければ、つまり回転速度が早ければ、それなりに自転車で移動ができそうです。

一方で一番重いギヤでペダルをこいだ場合、つまり大きいトルクをかける時、ペダルのスピードはゆっくり、つまり回転速度が遅くても、同じように自転車で移動ができそうです。

ここから、「小さいトルクでも回転速度が大きい場合と、大きいトルクで回転速度が小さい場合は同じような動力になる」ということが想像できると思います。

同じ動力であるならば回すスピードが遅いとトルクは大きく、スピードが早いとトルクが小さくなるということです。

回転速度と時間の関係をしっかり掴むことができましたでしょうか。

逆にこの記事を読んで理解するつもりが、逆に非常に混乱した方もおられるかもしれません・・・。

しかし、今回は「しつこい」というのが趣旨です。ごめんなさい・・・。

まとめ

以上から、小学校のころに速さ、時間、距離の関係性で習ったような感じで、こんなイメージでまとめられます。

次回はもう少し実例を付け加えてから、単位の分析に入りたいと思います。

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