幾何公差01 データムの書き方 (寸法との重ね方の注意点)

幾何公差

幾何公差の入門編として、データムの使い方を理解した方がいいと考えました。他のサイトさんや教科書の解説もわかりやすくていいのですが、「知りたいのそこじゃないんだよねー」という経験をたくさんしていますので、痒いところに手が届く様な記事にして行けたらと思います。

※本当は実際の図面を使って説明をしたいのですが、準備中です。出来次第図面を載せます。

データム=基準と考えてオッケーだが、矢印の挿し方で基準の位置がだいぶ変わります

むしろデータムのことより、データムを何処に入れるかを理解する事が重要です。データム形体の場所ですね。

データム形体と寸法線との位置関係の理解が最重要

データムの三角記号を寸法線と同一線上においた場合は、寸法線の中心を示します。

データムの三角記号と寸法線をずらした場合は、指示した部分の表面を示します。

この2点さえ理解すれば良いと自分は考えます。これは全ての幾何公差に共通のルールです。

例えば、円柱の直径寸法を記入した寸法線と同一線上にデータむの三角記号をおいた場合は、その円柱の中心線がデータムになりますが、寸法線からずらした場合は円柱の表面、ここでは母線がデータムになります

直方体の一辺を示した寸法線に合わせてデータムの三角形を合わせて描いた場合は、その直方体の中心平面がデータムですよ、という指示になります。

データムの三角形の向きはどちらでも可

例えば、あるものの表面をデータムにしたい場合、寸法線のどちら側に三角形がきても意味は同じです。スペースの問題で書ききれなかったりする場合で、三角形の向きに関しては気にしなくて良いですよー。

データムの三角形は他の幾何公差にくっつけても良い

たとえばデータムAに対して反対側の面を平行度0.05で指定したとします。その指定した面を新たにデータムBとしたい時、幾何公差の記号に直接データムの三角形をおいてデータムBとしても大丈夫です。

どの要素をデータムとすべきか

多くのウェブサイトでこの議論がなされていないと思います。

模範解答としては、「それは部品ごとによってちがうから機械設計者次第です。」という感じでしょうか?

そのようなことを言う機械設計者さん、そんな答え求めていないんですよ。我々若手、中堅はあなた方のような経験は持ち合わせていません。そういう所を教わりたいのです。そのような常識は持ち合わせていないのです。機械設計者の皆様、教わらなかったことは常識だそうです。

機械設計者次第なのですから、私の考えをここに述べたいと思います。考え方は十人十色ですので、一つの参考にはなると思います。

データムAは捨て加工を一番初めに行う場所にする

データム A、つまり、一番初めの基準となるデータムの場所はその部品を一番はじめに捨て加工するところがいいと思います。

機械加工は基本的に一番はじめに基準となる面を決めてから加工する事が一般的ですので、ひとまずはこの方法が一番だと思います。

よくやりがちなのは、機能的に最も重要な位置をデータムAとしてしまう事です。

後日、図を追加予定ですが、とりあえず文章で説明します。

中央に円筒穴をもち、その部分へベアリングを入れて、両側に別の部品をセットするベアリングサポーターという部品があったとします。

機能上、ベアリングが入る位置が最も重要なので、ベアリングの入る円筒の中心線をデータム Aとしたくなりますが、ここは別の部品が付く嵌め合いの端面をAとすべきと考えます。

理由:面であれば、実用データム 形体が取りやすい

せっかく指定した幾何公差も実際に測定ができなければ意味がありません。測定に使用するのは、仮想の中心や面ではなく、実用データム形体である必要があります。上で説明したようなベアリングサポーターの場合、ベアリングが入る部分を実用データム形体で表すのは大変ですが、端面であれば、置いた定盤が実用データム形体となり、単純です。

これは旋盤で加工するシャフトなどにも言えます。チャッキングした時点で中心がほぼ出ますし、Vブロックの上に置けば測定を開始できます。

実用データム形体が取りやすいことは重要

実用データム形体は測定に直接かかわってきそうなイメージはつくと思います。機械設計者の皆様は品質保証部がどのような部品検査を行っているか把握していますか?基本的には図面通りのデータムを参照して寸法記録を作りますが、とんでもないところにデータムがあると品質保証部で図面に新たなデータムをつくって記録する、なんて話も聞いたことがあります。

測定できないのであれば、品質保証部で工夫して測定しているので、いいのかと思われがちですが、これだと機械設計者の意図が十分反映されていない状態もあり得るのではないでしょうか?

機械設計者の意図を十分伝えるためにも測定しやすい図面を書く必要があると考えています。

ただし、図面は検査をするために書くのではない

だからと言って、検査が測定しやすいデータムの取り方だけをしていればいいわけではありません。機械設計者がこれは非常に重要である、と判断した場合にはいくら測定が難しくても、データムを置かざるをえないときがあります。

こういったときに、品質保証部の自己判断による検査で合格を出されてしまうと最悪です。

幾何公差が難しい、絶対譲れないなどの場面は少なからずあると思いますので、製造現場や品質保証部と打ち合わせを常日頃からもっておくべきです。

まとめ

データムの取り方は適当ではいけません!

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