幾何公差07 同心度 同軸度 基本や見分け方、測定方法等を解説

幾何公差

幾何公差シリーズ、今回は同心度と同軸度です。幾何公差としてはわかりやすい部類に入ります。定義と見分け方、Φの有無、データム、測定方法(検証方法)の他、旋盤でチャッキングを反転させるトンボと関係が深いので、これらについて触れていきたいと思います。

同心度とは

同心度とはある基準(データム)に対して、対象の円形の中心がどれだけズレてもよいかを示します。

同軸度とは

同軸度とはある基準(データム)に対して、対象の円筒の中心軸がどれだけズレてもよいかを示します。

同心度と同軸度の違いは気にしなくていい / 同芯度とは書かない

同「心」度と同「軸」度って同じじゃないの?と思っていましたが、微妙に違います。

同心度は円の中心同士のズレ具合を示すので二次元的です。一方、同軸度は中心軸のズレ具合を示すので三次元的であると理解しておけば良いです。二次元か三次元かで見分けるといいです。

同心度も同軸度も記号は同じですので、「円形のもの」の中心のズレ具合と覚えていれば、製図をする時には問題ありません違いについてはあまり気にしなくていいと思います。

また、同「芯」度は一般的には表記しないようです。「同心度(同芯度)」として紹介しているところもあるのですが、JISには同心度という表記しか載っていません。私の場合、表記の厳密性はさほど気にせず、伝われば良いと思っているので、JISには無いんだなーくらいの認識でいます。

φもデータム も必ずつけて!

同心度は点、同軸度は線を示し、その範囲は円形になりますので、同心度も同軸度も幾何公差の範囲を示す数値に必ずφをつけます

また、同心度も同軸度もデータム (基準)と比較した時の幾何公差を示しますので、基準となるデータム を示す必要があります

データム を使用せずに真っ直ぐさを規定したい場合は真直度

何かと比較をせず(データム を使わず)にまっすぐさを規定したい場合は真直度を使用します。真直度は平面度と同じ形状公差の仲間ですので、基準(データム )を記入する必要はありません。

測定方法 検証方法

同軸度:データムの位置を基準に回転させてダイヤル(微妙)

同軸度の検証方法はあることはありますが、ちゃんと測定できるか?と考えると微妙です。

その方法とは、データムを指定している部分に対して「しっくり」の穴、または軸を用意してそれに取り付けて回転させ、検証箇所へダイヤルゲージを当てて測定するというものです。

微妙な点の一つ目は「しっくり」です。測定する部品を取り付けた後、回転させなければいけないので、「スキマ」がある程度必要ですが、それではスキマの部分が測定結果に影響してくるので、ちゃんとした測定値は出ません。「しっくり」が具体的では無いところが微妙です

微妙な点の二つ目は回転させてダイヤルゲージで測定するところです。それって振れ公差を測っているのでは・・・?

ただ、この方法は悪いわけではありません。目安測定としてはよいのではないでしょうか。

これ以外ですと、やはり三次元測定器頼みになります。三次元測定器を所持していなければ、幾何公差はほぼチェックできない世の中です。

同心度:三次元測定以外あまりいい方法がない

同軸度も同様なのですが、同心度は円の中心の測定が必要です。しかし、円の中心って測定できません。円の中心というのは概念ですので、実態はありません。実態がない物を基準にして測定するのがまず難しい

同軸度も同様に実態がありませんが、軸や穴は円筒形状であるため先ほど説明した「しっくり」な穴や軸を用意することで、多少は中心位置の特定ができます。しかし、二次元的である同心度は線ではなく点であるので、その特定方法の難易度が上がります

さらに同心度は先ほど述べた通り二次元的なものです。ですが、実態として二次元のモノは我々の住んでいる三次元には存在しません。すべて厚みがあります。同心度はどのように解釈するべきか、揉めることもありそうです。

いわゆるトンボに注意!

同心度、同軸度が図面にある場合、一番気にしなければならないのは、旋盤加工時に加工対象物を反転させる、いわゆるトンボする場合の同軸度です。

旋盤に加工物を取り付け、チャッキングしてそのまま外さないで加工すれば、同心度や同軸度のズレは比較的少ないですが、同じ部品をトンボさせて(反転させて)掴み直すと、殆どの場合、旋盤で加工物を回転させる中心位置が初めにチャッキングした位置とズレます。それのズレの修正には時間がかかる上、チャッキングを変えなかった加工に比べて同心度や同軸度の精度はどうしても悪くなります。

機械設計者(私だけかもしれませんが)は設計する部品の両端に厳しい同軸度を入れて精度を出したがります。そういう部品がどうしても多くなるんですよね。でも上記のように同軸度を求めすぎると加工者に嫌われるし、コストアップにもなるので注意が必要です。

まとめ

同心度は二次元、同軸度は三次元で中心を規制する

トンボする部品の同軸度の精度に注意

 

 

 

幾何公差はJISを見るのが一番ですが、入門編として下の書籍は大変オススメできます。この本読んでからJISを見ると分かりやすいです。入門編としても分かりやくて素晴らしいですが、ちょっと困った時にササッと調べるのにも向いています。要点がうまくまとめられています。結局はこの本しかみなくなります。。。

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