今回は真円度と円筒度です。真円度や円筒度の検証方法は、他の検証方法にも応用できますので、ここで押さえておくのが良いです。しかし、円筒度、真円度自体は私はちょっと使いにくいと思っています。理由を含めて解説してみます。
データム は不要
真円度は円のまんまるさ、円筒度は円柱の外側のまっすぐさとまんまるさを示しますので、何かと比べる必要はありません。よってデータム は不要です。
検証方法はあることはあるが問題あり
等径ひずみ円(ルーローの三角)問題
直径の2点間距離を測定する方法は✖に近い△
真円度測定法として、マイクロメーターやノギスなどで直径をたくさん測定する方法があります。しかし、これには落とし穴があります。どこを測定しても同じ径だけど、ひずんでいて真円度が出ていない円というのものがあります。等径ひずみ円、ルーローの三角形などでググるとわかります。
そして、等径ひずみ円は旋盤加工においてチャッキングの具合により起こり得る問題です。
旋盤加工における問題を特定できない測定方法は致命的です。やるべきではないですよね・・・。
Vブロック・馬乗りゲージでの測定は注意が必要

等径ひずみ円の対策の一つとしてVブロックや馬乗りゲージにセットして測定する方法があります。Vブロックに円筒を乗せ、それに沿って回転させつつ表面の振れをダイヤルゲージで測定する方法です。しかし、この方法でも、ある条件での等径ひずみ円ではダイヤルゲージが振れない場合があります。Vブロック・馬乗りゲージの角度と等径ひずみ円の角の数によりますので複数の角度のVブロック・馬乗りゲージを用意して測定したほうが良いです。
それって振れ公差なのでは問題
精度良く図れる方法の一つとして、シャフトのようなセンタ穴が空いているものならばそこを中心に回転させてダイヤルゲージで測るということもできます。これは真円度を測る方法としてはメジャーとのことですが、それって振れ公差じゃないんでしょうか???真円度、円筒度の意味は???
真円度より円筒度なのでは・・・?

私の業界だけかもしれませんが、ある一つの平面における円のまんまるさが求められる場面ってほぼなくて、円筒でのまんまるさが求められる方が多数だと思います。真円度や円筒度を求めるのはほとんど嵌め合いの部分ですので、任意の一点の真円度より筒の円筒度を指定したいです。
でも、真円度から円筒度にするとなると、色々とハードルが高くなります。
でも円筒度を指定された加工は、難しい
円筒度を入れた図面を書きたいと思い、協力会社へ依頼した時期もありましたが、毎度嫌がられていました。
円筒度は三次元での規制条件、つまり、真円度と直角度が合わさったようなものです。2つの幾何公差を同時に満たさなければいけない状態となり、加工は厳しいものになります。
また、測定の面からも厳しいです。
真円度および円筒度を測定するには測定物を回転させてダイヤルゲージを当てての測定するというのが方法の一つにあります。真円度なら1か所でよいのですが、円筒度は指定された範囲全体をカバーする必要があります。この測定は測定箇所が膨大になり、キリがなくなる可能性があります。
結局三次元測定器?

結局そこに行き着きます。ちゃんと測ろうとすると大変ですね。あまり好きではないんですけどね、三次元測定器・・・。
まとめ
真円度と円筒度にデータム は不要!
指示すると検証方法は厄介!
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