幾何公差02 平面度

幾何公差

今回は平面度について、深堀していきたいと思います。たかが平面度、されど平面度。簡単だと思っていても、結構迷うことありませんか?自分が疑問に思ったことと、その解決のためにした解釈を紹介したいと思います。

データムは不要

まずこれです。平面度は何か(データム )と比較する必要はありません。単純に二つの平面の中に実際の平面があればよいのです

平行度とごっちゃになってしまうのだと思います。度はデータム面との比較なので必ずデータムが必要ですが、平度は平面の度合いを言っているだけですので、データムはいりません。

CADソフトも問題あると思うのです。平面度でもデータムを記入できてしまうので。

検証はかなり面倒なことも

幾何公差全般に言えますが、図面に書く限り、その数値でできているかどうか必ず検査して確認します(普通は)。平面度はかなり厄介な測定が必要となる場合があります。

原始的には定盤の上においてスキマゲージを挿入

測定したい面を定盤の上において、真横から見てみると隙間が空いている場合が有ります。光を当てるともっと分かりやすくなります。そこにスキマゲージを突っ込んだらどれだけ平面度がずれているか、おおよそは見当がつきます。

お気づきだと思いますが、この測定方法の問題点なんていくらでも思いつくと思うので、ここでは省略します。。。

当然、そんな測定結果を記録として残して、第三者から認めてもらうことはできません。現場で咄嗟の判断をする時に使いましょう。

ダイヤルゲージで測るのは大変

測定面にダイヤルゲージを這わせて測定することもできそうです。これは一般的な方ではありますが、ダイヤルゲージを移動させる水平面の基準だしが大変です。実際の測定面は指定平面度に入っているのに、その基準が少し斜めになっていただけで不合格になる場合があります。基準を決めてすべての面をダイヤルゲージで這わせる、を何度も繰り返さないといけません。

データムターゲットを使ってある部分を指定すると幾分楽にはなりますが、基準面を決める大変さは変わりません。最悪なのはその指定された部分だけズレがなかった場合ですね。検査は合格、モノは不良。会社の信頼が一気に地に落ちます。

三次元測定機(接触式)はまあまあ

データムターゲットにより指定された測定部分は平面度の問題がなく、その他の面がズレていた場合、接触式の三次元測定機で測定しても「検査は合格、モノは不良」が起こってしまいます。ただし、三次元測定機は簡単に測定点を増やすことができますので、データムターゲットにこだわらない測定の手順にしておけば、この問題は解決できそうです。

でも、接触式の三次元測定機特有の弱点である、大型で導入費用が高いその割に大きいものが測定できない測定器自体をその場から動かせない扱う技能が必要なので順番待ちになりすぐ結果がわからない、が結局足枷になると思います

個人的には接触式の三次元測定機は無駄が多いと思っています。

現状最強なのは3Dスキャナ

一昔前までは高価で種類も少なかった3Dスキャナですが、近年低価格化とラインナップの充実がすすんでいます。三次元測定機の機能も追加されており、通常の機械加工の精度確認くらいであれば余裕でできそうです。

わたしがまだ使用したことがないのですが、カタログや展示会で見る限りかなり良いと思っています。

3Dスキャナは上で上げた三次元測定機の欠点を補ってくれます。まだ浸透はしていないので今後に期待しています。

同様に放射線を使ったCTスキャナで3次元測定できる物も出てきたようで、こちらも低価格化と大型化を期待したいです。安全性もね。。。

実際いくつにすべきか?

私自身悩んだのは実際いくつにすべきかです。私の会社にはとにかく何か書いておく、みたいな風習があり、すべて0.01となっていました・・・。実際にはそれだけ正確であれば製品の性能も安定するのですが、加工費がとんでもないことになりそうです。実際のところいくつにすべきかの決め方を紹介しますので、参考にしてみてください。

本来必要な精度から設定する (できない・・・)

あたりまえのことです。しかしそのあたりまえがほとんどできません。

「当たり前のことは世の中に一つもない」

名言です。

本来必要な精度は0です。0でできていればすべて解決!

・・・当たり前ですが、無理ですね。

そこまで極端なことを言わなくても、ここは0.02かな~とかここは0.04かな~とか考えて指示しても、機械加工者や協力会社で「それは至難の技」「時間かなりかかるけどその精度必要?」との回答が返ってきます。私の場合、かなり歩み寄っても「本来必要な精度」で物を設計できませんでした。

私の会社の創業は古く、数十年前の図面を今も平気で使っています。その図面をCAD化して新しい協力会社さんや社内機械加工者に投げる時に幾何公差をその図面に追記する、という業務があります。そのような時に本来必要な公差を書いてしまうと上記のような問合せの嵐です。

加工機械の保証スペックから公差を設定するのが現実的

苦肉の策ですが、私の置かれている現状ではこの方法をとるしかありません。手書きの古い図面を急いでCAD化しないといけないが、幾何公差の入っていない図面はよくない、となると、今までの加工方法で出る精度をとりあえず記入するということになります。

加工方法による幾何公差の加工可能範囲については設計者は認識すべきです。私も勉強中です。

旋盤にチャッキングして端面を落とした場合、その平面度はいくつくらいになるのか?フライスで表面をさらった場合、その平面度はどれくらいになるのか?

それらをもとに平面度を入れていきます。

「それって部品の必要な精度満たしていないんじゃないの?」

その通りです。ただ、仕事上昔からこれらの加工方法で特に不具合なく製品は出来上がっていますので、とりあえずこの方法をとっています。

これは、裏を返せば必要な精度が設計者として解っていない事を認めているような物なので大問題ですね・・・。がんばれ私・・・。

旋盤加工面の時はナカビク、ナカダカに注意

旋盤加工で平面度が関係してくるのはチャッキングして端面を落とす加工です。その際、チャッキングの仕方によって、加工物の回転している中心部分だけ少し盛り上がってしまう中高(ナカダカ)や、逆に凹んでしまう中低(ナカビク)が発生します。これは加工物の掴み方などの諸条件により変わってきます。

旋盤加工をする加工物で平面度を入れるときはこれらがどれくらい発生するかを念頭に平面度を決めていけばいいと思います。

中低、中高の度合いに関しては、加工物によります。大体の加工者はこれならどれくらい平面度は出ると把握していますので、加工者に聞いて確認するのがベストです。

フライス加工の時は板厚に注意

フライス加工で出せる平面度は加工対象物の板厚によって変わってきます。薄物は平面度を出しにくいという認識でいいと思います

一番参考になるのはミスミさんのフリープレートの発注条件です。

https://jp.c.misumi-ec.com/book/MSM1_12/pdf/1818.pdf

ここにプレートの厚さにより出せる平面度が書かれています。この数値って今までネットにほとんど載っていなかった、ある意味タブーな情報で、結構凄いところに切り込んでいると思います。ここにある通り、何ミリあたり何ミリという表現がいいと思います。

まとめ

平面度はデータム不要です!

あとミスミさんのフリープレートの平面度めっちゃ参考になります。

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