軸封(読み:じくふう)とは メカニカルシールからグランドパッキンまで比較しながら概要を解説

軸封

軸封という言葉、普通の人は耳慣れない言葉かもしれません。軸封は「じくふう」と読み、機械要素の1つとして数えられる重要なものです。

この記事では軸封概論ということで軸封そのものの説明と軸封の種類、それぞれの簡単な特徴を比較しながら、できるだけわかりやすく解説していきます。

私はポンプの人ですので、主にポンプに使用する軸封についてになります。

こんな人におすすめ
  • グランドパッキンとかメカニカルシールとかは聞いたことがあるけど、よく知らない方。
  • 軸封の種類ごとの特徴を比較したい方。
  • 軸封の概要をざっくり短時間で理解したい方。
サトー
サトー

ポンプの設計経験を生かして、わかりやすく、かつざっくり短時間で伝わるように頑張ります!

軸封とは 軸からの漏れを封じます

軸封とはわかりやすく言い換えると下記の通りです。NPSHのところで触れましたので転記します。

軸封(じくふう)とは

ポンプはケーシングからシャフト(主軸)を突き出させ、それを電動機で回転させて液体移送を行う機構が多く採用されています。そこで問題となるのが、突き出した主軸部からの液体のモレです。これを止めるための装置軸封装置といいます。

グランドパッキン、オイルシール、メカニカルシールなどがあります。

主な軸封 とりあえず4種類盛り合わせ!

主な軸封を表にしてみました。今回は概要についてざっと解説してみようと思います。また、おススメする使い方も提案します。

ただ、ググれば他のサイトやメーカーさんの方が詳しいです。詳細はそちらに確認を。

性能グランドパッキンオイルシールメカニカルシールノンシール
概要シャフトのスキマへ詰め物をするゴムをシャフトへ密着させる硬いもの同士をバネで押し付けるマグネットパワーでシャフトを分離する
モレ漏らして使うのが前提なので結構滴れてくる漏らして使うが漏れ量はまぁまぁ少ない漏らして使うが漏れはほとんどない(実際は漏れてる)漏れは基本的に無し
耐熱性
耐薬品
意外と広い範囲で対応可能材料により規制多い材料以外にもシステムでカバーできるので結構対応できる磁石との相性次第=鉄だとくっつく点に注意
メンテナンスしょっちゅう変えることが前提のため、逆にやりやすい取り付け方法はシンプルで扱いは良い。面倒だがモノ次第で
やりやすい場合もある。
基本メンテナンスフリーだが分解時面倒
価格安いが特殊仕様はそれなりの値段安いが特殊仕様はそれなりの値段汎用品や初期納入時は安いが、特殊仕様やリピート時に高い高い(特に磁石)
サトー@機械設計による見方

グランドパッキン 詰め物です

あくまでイメージです。実際のグランドパッキン形状と異なります。

ケーシングから突き出ているシャフト(軸)の周りに薬剤をしみこませた縄を詰め込んで漏れを防ぐのがグランドパッキンです。漏れてくるから、なんか詰めとこ!みたいなノリです。

現在は禁止になっている「アスベスト」というものがあるのですが、それが万能で、よく使用されていました。ガンになっちゃうので今は使えません。

オイルシール ゴムでシャフトを抱きます

弾力性のあるゴムを回っているシャフトに押し付けてモレを防ぎます。押し付けるためにばねがゴムの中にセットされているものもあります。

つねにシャフトにゴムを押し付けているので、ゴミが入ってしまうとシャフトが傷つくことがありますね。あと変な形が多い。物によっては方向があるのでセットする方向に注意ですね!

メカニカルシール 硬いもの同士をばねで押し付けます

ケーシングに固定された硬いリングとシャフトに固定された硬いリングをばねにより押し付けてモレを止めます。ケーシングに固定される方は動きませんが、シャフトに固定された方はシャフトと一緒に回りますので、ばねで押しけられながら回転している状態になります。

はじめてこの機構を見た時、「どうしてこうなった!?」と思わざるを得ません。シャフトからの漏れを止めるためにそこまでするの?って感じました。

これもメカニカルシールの生い立ちを理解するとわかります。苦労して子供を育てた親の気持ちになりますよ!後日解説します。

ノンシール マグネットカップリングという呼び名が有名

シャフトに磁石を取り付け、カバーで覆ってから、さらに磁石をかぶせ、かぶせた方の磁石を回転させることで、完全にポンプ内部とシャフトを分離させてしまう方法です。

軸封に分類するべきか迷うところではありますね。軸封は「無し」なので。

完璧なように見えますが色々と注意点が多いので、別記事で解説します。

軸封の種類は色々!特徴を抑えて選定して良いポンプライフを!

軸封の特徴にざっと触れました。どの軸封が完璧ということはありません。現在使われている環境によりベストなものは変わってきます。

普段皆様が使われているポンプの軸封について理解しておくと、故障やトラブルが発生した時の解決のヒントになりますので参考にしてみてください!

軸封の選定はポンプメーカーさんに丸投げ!でも良いのですが、普段使っている人しかわからない状況があると思います。

それぞれの軸封の特徴を理解して、「もしかしてこの特徴が原因のトラブルかも?」というのをポンプメーカーさんにぶつけてみて下さい。ポンプメーカーさんは一緒に考えてくれるお客さんが大好きです!

まとめ

まとめはこの表です!

性能グランドパッキンオイルシールメカニカルシールノンシール
概要シャフトのスキマへ詰め物をするゴムをシャフトへ密着させる硬いもの同士をバネで押し付けるマグネットパワーでシャフトを分離する
モレ漏らして使うのが前提なので結構滴れてくる漏らして使うが漏れ量はまぁまぁ少ない漏らして使うが漏れはほとんどない(実際は漏れてる)漏れは基本的に無し
耐熱性
耐薬品
意外と広い範囲で対応可能材料により規制多い材料以外にもシステムでカバーできるので結構対応できる磁石との相性次第=鉄だとくっつく点に注意
メンテナンスしょっちゅう変えることが前提のため、逆にやりやすい取り付け方法はシンプルで扱いは良い。面倒だがモノ次第で
やりやすい場合もある。
基本メンテナンスフリーだが分解時面倒
価格安いが特殊仕様はそれなりの値段安いが特殊仕様はそれなりの値段汎用品や初期納入時は安いが、特殊仕様やリピート時に高い高い(特に磁石)
サトー@機械設計による見方

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