機械設計者における他部署との連携の仕方

機械設計

 機械技術者の方、他部署の方との付き合い方が難しいと感じていませんか?機械設計者の方であれば、だいたい部署は技術系だと思います。「あいつらお高くとまってやがる」見たく、ちょっと現場の方から冷たい目で見られたりしてませんか?ここでは自分が経験した中でこうしたほうがいいんじゃないと言うものをまとめてみます。

機械設計者(技術)の人間はどんな風に見られている?

 機械設計者の皆さんの肩書きは様々だと思います。設計課、技術グループ、メカニカルエンジニアなど、言い方は色々ですね。ここでは「技術」とします。 

 まず、機械技術者は他部署からどう見られるか、考えてみます。 

 あくまで私の感覚です。 

営業→技術 

  • いつも余計な設計仕様を追加しやがって!そんな余計なことしてたら利益出ねぇよ! 
  • お客さんが求めている資料の提出が遅すぎ。お金もらっているのに、お客さんに愛想つかされるぞ。
  • そんなに設計期間必要なの?長くね?あれと同じでできるじゃん。 

調達→技術 

  • その図面よくわかんないんだけど。何を購入すればいいの? 
  • 材料細かすぎじゃない?SUS304LもSUS304も同じじゃないの?
  • この部品ミルシートいるの?ミルシート不要なら在庫してるの使えるのにもったいねー
  • こんなキレイな仕上げ意味あるの?この仕上げの有無だけで値段3倍違うんだけどなぁ。

生産技術、加工者→技術 

  • こんな加工意味ある?この加工の有無だけで段取り増えるし治具必要だし…
  • そんな幾何公差書かれても絶対出せないって。今まで無理だったしこれでいいでしょ。
  • ここの寸法間違い、前からずっと治ってないな。何年も前から技術には連絡して改善要求しているのに。加工担当変わったら引き継ぎでき無さそうで困る。 

検査→技術 

  • 穴同士の中心間距離なんてマイクロメーターとかノギスじゃ測れないでしょ?現場のこと全くわかってない。なんとなく測って確認しておいてって言われても困る。
  • ここ別に図面通りでなくても製品は問題ないけど、公差はずれてるから不合格ね。 こんな厳しい公差出るわけないじゃん。普通に部品組み付けられるしなんで厳しいか謎なんですけど…。

機械設計者(技術)からも言いたいことはあるんじゃ!

技術→みんな

 上で述べたようなことに対して反論し、文句を逆に言いたい技術の人もいるのではないでしょうか。 例えば、以下のように・・・ 

 営業はわかってない。設計・制作検討に時間がかかるのは当然だし、その分資料作成だって遅くなる。間違ったものを出したら「技術がまちがえました」と平気で言って責任を押し付けるくせに。 

 調達は図面を見る能力がない。もっと勉強が必要だ。材料のことも知らない。必要だから指示してるのだ。黙ってやれ! こっちは日々忙しいのだから、既存の図面を直すより新しいものに取り組んだほうが会社の利益になるだろう。そんな図面訂正後回しだ!

 加工は図面に書いてある取りに加工するのが仕事だ。いちいち図面にケチをつけてさぼろうとするな! 

 検査はそんな細かいところは判断できるだろう?なんでもっと臨機応変にできないんだ?もっと製図を勉強して測り方を研究すべきだ。機械設計者は日々努力して色々勉強している。 製品の全体を理解するべきでしょう。

 …これは反論ではありません。こんな反応をしていると他部署から嫌われますよね。 その結果… 

結果、機械設計者はどのように思われているか?

あいつらは机の上で仕事して、偉そうにしている、
何もわかってないダメな奴らだ。 

おまけになぜか給料が高い。 

 っておもわれていませんか? はい、こんな機械設計者の指示で仕事はしたくありませんね。 

この前提がある中でどう振る舞うべきか

 では、他部署の人たちとどう付き合っていくべきか、持論です。 

ものづくりの機械設計者は「ものを作れない」

 機械設計者はものを作れません。例えば、どんなに素晴らしい計算をしようが、どんなにいい特許を取ろうが、どんなに見やすい図面を書こうが、実際にモノを作る場合は調達が材料を調達し、加工部門が加工し、検査部門が検査し、組立部門が組み立てます。 

 普段、図面で何気なく指定する材料SS400、M6のタップ加工、幾何公差直角度0.1、H7内径仕上げ等、すべては現場が実際に作業します。 

 全自動で加工してくれる機械も、人間が操作します。AIも人間が作ります。 

 ものづくりと言うのは、いろんな人のおかげというのを実感し、感謝すべきです。 

 これができていない人が多いこと。すぐそれは俺の仕事じゃない。お前らそれしかできないくせに、もっと勉強しろよという設計者が多いと思います。 

ただでさえ、差別、偏見を持たれやすい職種であることを意識すべき 

 技術者の卵として就職活動をしていた友人が、大企業で工場見学した時、 現場の人たちから、「君たちは一年中空調の効いた部屋で座ってパソコンいじって、俺らより高いお給料もらえるからいいね。」と嫌味っぽく言われたそうです。 

 一般的には現場作業者より技術系のデスクワークの方が給料が高く設定されていると認識されています。機械設計者である皆さんは当然苦しい思いをしながら勉強してきているので、ある程度自信があるのは確かだと思いますし、かなり高度な仕事をやっており、それなりの対価をもらうのは当然だと考えているかもしれませんが、現場の人から見れば同じ時間働いて給料が違うと言うことで、妬みの対象になりやすいです。

 このような背景があるからこそ、機械設計者が現場作業者をバカにしたような態度で接するのは絶対ダメです。だれも言うことを聞いてくれなくなりますよ。そもそも機械技術者は「なにもできません」から、現場作業者をバカにする資格すらありませんよ。 

他職場の人はリスペクトすべきだし、リスペクトしかない 

 このようなことを理解した上で、結局自分は図面を書くことがしかできない、製品を作っているのはみんななんだ!と言うことを理解すると、自然と周りをリスペクトできるようになります。ちょっとした現場作業者の気遣いや問い合わせ、フィードバックの連絡があるだけで泣くほど嬉しい気持ちになります。

 リスペクトすると考え方が変わり、行動が変わり、仕事の雰囲気が変わります。 やり取りが好循環を生み、ひいては会社全体を良い流れに変えることができます。

 これは大袈裟に言っている訳ではありません。 機械設計者が一人いるだけでガラッと変わります。

他部署に対してどうリスペクトしたら良いか

次工程はお客様

 さっき上げた他部署の愚痴について、ほとんどコミュニケーションで解決できます。必要なのは丁寧な説明をしてこの加工や意義を理解してもらい、気持ちよく仕事してもらうこと。コミュニケーション=リスペクト(相手を敬う気持ち)です。 

 よく、次工程はお客様と言われますが、大変いい言葉だと思います。

 どうして時間がかかるのか、一見不要と思われる仕上げがなぜ必要なのか、どうして図面改訂が遅れているのか…。もし相手が会社の同僚でなくお客様であれば必ず説明するはずです。説明もしてくれないし、意味不明なままだと、お客様は次から買ってくれません。同僚の場合、同じ会社内で仕事ですから、いやでも聞くしかないんです。

 親しき中にも礼儀ありです。相手のことを大事に考えることが大前提です。

注意点あります

 リスペクトをすべきですが、私が難しいと感じる点があります。

お給料、査定の問題

 一番の壁になるものはお給料です。査定もかなりの障害になります。 

 コミュニケーションをして仕事が円滑になった場合、その人の査定がよくなり、給料の差が広がるだけなのだから、協力したなくないと言われたらぐうの音も出ません。 

 仕事がうまく流れるのであれば、全部その人の功績にしてしまいましょう。先ほども述べましたが機械設計者は何もできないのです。リスペクトです。

納得させるのではなく、論破しているだけの場合あり

 いけないなーと思うパターンは一生懸命説明しようとして論破しているだけになっていることです。その事を理論的に一生懸命説明する人、基本的にうざいですよね。あまり友達になりたくないタイプの人です。

 一生懸命説明すれば相手はわかってくれるはずだ!と指導される場合があると思いますが、違和感を感じたことありませんか?「こいつウゼーから反論しないでもう黙って従っておこう」ってなっている場合あります。

 説明するのは大事ですが、コミュニケーションの基本は相手の話を聞く事であり、相手をねじ伏せることではありませんよ。

結論 

機械設計者は他部署からあんまりいい目で見られていないですよ!

何もできないんだから周りをリスペクトするのは当たり前!

それでもうまくいかない場合あるから!慎重にね!

こんなにコミュ力必要な仕事だと思ってませんでしたよ…。

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