単位換算のコツ ~単位換算を間違えると危険な話~

 強度計算する時、電卓やエクセル、全部自動化された市販のソフト、最近はAIなんて言う人もいると思いますが、結局機械設計者は電卓やエクセル、AIが間違えていないか確認する作業が必要です。そのなかで絶対間違えてはいけないのが単位です。あまり教科書に載っている話ではなさそうなので載せます。

こんな人にオススメ
  • 単位換算が面倒だと感じている人
  • 単位換算時のちょっとしたコツを知りたい人

単純計算と単位換算を間違えた時の比較

 以下、単純な計算の間違えと単位換算の間違えを並べます。

 パターン1  3+5=9

  全然オッケー。正しい答えと 12 % しか違いません。

 パターン2  2×3=8

  全然オッケー。正しい答えと 33 % しか違いません。

 パターン3  1 GPa = 10^4 MPa

  かなり問題。答えが 10 倍 違います。

 パターン4 kW の k の換算を忘れる

  大問題です。答えが 1000 倍 違います。

 

単位換算のコツは「感覚」を大事にすること

機械設計者は間違えないような正確な『計算能力』は不要です。そんなものは電卓やAIにまかせましょう。

必要なのは単位を間違えないこと感覚を大事にすることだと思います。

例えば、次にあげるような感覚を持ってみてください。

1トンの水は何リットル?

 10 の 3 乗だったか、4 乗だったか、迷ったときはちゃんと想像できるかです。

 私の場合は、牛乳パックの1リットルパックを想像して、あれが約1 kg。1 トン = 1000 kgですので、10 の 3 乗と思い出します。

  1 分間に100 リットルの流体を流すポンプの大きさが想像しやすくなります。

一辺 1 cm の SS400 角棒がちぎれる重さは?

 10 * 10 [mm2] * 400 [N/mm2] / 9.8 [m2/s]= 4082 [kg]    約4トンですね。

 この中の[]で示した単位のところが重要です

 この直径の単位が mm2 でなく、 cm2 や m2 になっている場合は要注意。重さの単位もkg なのか、ton なのか、 g なのか。

 例えば装置の架台への輸送用のひっかけ部の設計でおおよその感覚を持ったうえで設計を始めるのと知らないで設計するのは違います。10 kg のものを持ち上げるのに、一辺 1 cm の角棒3本で支えるのはオーバースペックですよね。

 これを知っていると計算式の間違いに気づけます

 例えば、直径 10 mm のS45C 丸棒を引っ張って破壊したいとき、その荷重は「1トン」という計算結果が出たとします。上記の感覚があれば、この答えは間違いであるということにすぐ気づけると思います。これがエクセルで計算したもので、そのまま信じて機器を設計した場合、出来上がってから「あちゃー」ってなります。

1 MPa = 1 N/mm2 単位換算中の思考

 ・1 MPa = 106 Pa   MPa の M は「メガ = 106

 ・106 Pa = 106 N/m2    1 Pa(パスカル)を組立単位に変換

 ・106 N/m2 = 10 6 / 106 N/mm2

   1 m2 を 106 mm2 へ変換する。

   この時、分母側にmm2 が来るので106 は分母側に来る。

 ・10 6 / 106 N/mm2 = 1 N/mm2  結局同じです。

単位換算間違いから起こる最悪の事態

 もしエレベーターを吊るワイヤーを設計していた場合、単位換算を間違えてワイヤーの強度が10分の1で設計、製作されてしまったら、人が死にます。

 設計者の単位換算間違いは人を殺すのです。

 学生時代の数学や物理のテストとはレベルが違います。計算してお金をもらうということは大きな責任が伴います。

まとめ

計算は間違えてもいいから

単位換算だけは間違えないようにすべき!

間違えないようにするには感覚を大事に!

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