JISってどう使うの? 〜〜機械設計者はこんな感じ〜〜

機械設計

 学生さん、機械設計の仕事を始めたばかりの方、JISっていろいろきまっているけどどんな時にどんな風に使うのかよくわからないって人いるんじゃないかなとおもってます。どんな感じてJISって使うかの概要がざっくりわかるように書いてみます。また、機械設計の方も、こんな感じて他の人は使うのかーくらいがわかります。

JISとは・・・ 

意味とその役割

 日本産業規格の略です。昔の人は日本工業規格と覚えています。日本工業規格って教えられたら黙って苦笑いしておいてください。詳しくはググってみて。。。あとJIS規格って頭痛が痛いって行っているのと一緒ですので注意。

 JISには様々な工業製品を作る上での決まり事が乗っています。なぜその様な決まりが必要なのかと言うと、例えばネジのギザギザの部分の形が作る会社によってバラバラだと修理するときに絶対その会社からネジを買わないといけません。これを日本全国で同じ物を作りましょう、として決めたのがJISです。 

海外規格との関係性

 JISと言うと日本独自の物と言うイメージをもたれると思いますが、そのほとんどは海外規格のパクリです。

 こんな書き方したら、年配技術者に起こられるかもしれません。これは日本が世界を相手に技術で闘おうとした場合、日本独自の規格で物を作ったらメンテナンスなどが大変だし、海外の人は理解できないので、日本で作ったモノは売れません。世界的に標準的に使われている規格で作らないと売れないので、どんどん海外の規格を取り入れて競争力を持たせたのです。結果、規格そのものが海外のものとほぼ同じになりパクリじゃんってなっています。

JISで調べるのは最終手段 普段はメーカーHPが一番 

 身もふたもない話ですが、もし調べることが一般的な事象であれば、メーカーのウェブサイトが断然おすすめです。規格はどうしても正確さや記述の明瞭さ、厳格さを求める傾向にあり、読みにくい文章である事がほとんどです。かと言って、いわゆる○○力学の教科書に載っている様なことは実戦で使う分には詳しすぎます。程よく中間をとっており、かつ実践的であるのはメーカーのウェブサイトやカタログです。最近はウェブの進化により自動計算してくれるサイトも増えました。過信は禁物ですが、使えるものは大いに利用していい物を作るべきです。

どんな場面でJISを使うべきか

 JISはいわゆる「決まり事」なので、親切にわかりやすく、と言う感じではないんです。 ただ、この場合は絶対使用すべきだと言う時があります。

場面1 正式(フォーマル)な書類等に引用する場合 

 フォーマルな書類というのは、例えば官公庁に出す書類であったり、客先へ出す強度計算であったり、丁寧な対応が必要かつ技術的裏付けが必要な場合に使用します。ボルトや材料の強度の引用や、安全距離に基づく保護カバー隙間など、客先への技術的根拠の説明時はJISを引用すれば説得力が増します。 

場面2 協力会社へ物を発注する場合

 よく知っている業者さんへの発注であれば、例えばステンレスの丸棒を一本入れておいてーって頼めば普通にSUS304の丸棒が入ってくるのは当たり前ですが、協力会社が変わるとそうもいきません。当然ステンレスにも種類があり、材料の切り出し方や製造方法、熱処理、試験方法があります。これをJIS G ○○○○の○○!と頼めば、日本全国、いや世界各地で頼んでも同じものが入ります。

 この部品ダクタイルでお願い!と頼んだら微妙に違うものが入荷されて、失敗した事があります。

 特に自分がよく知らない材料を頼む場合は規格をよく確認した方がいいでしょう。私はアルミに詳しくありませんので、例えばどうしてもアルミのものでものが作りたくなったら、まず規格を確認します。

JISがあまり役に立たない場合もある

 細かく決まりが載っているので、だいたい役に立つと思いきや、そうでもない場面もあります。

JISには流通していないものも記載してある

 ありがちなのは、 規格に載っていても流通がない場合です。例えばC4スキマのベアリングとかです。逆に規格に載っていなくても流通している場合があります。M6の長さ15 mm のボルトなどです。こればっかりは皆様のお付き合いのある協力会社に寄りますので、確認してみてください。

JISには材料強度(引張強さ)が載っていない場合も

 JISには材料強度(引張強さ)について規定されていないものが結構あります。一例としてはS45Cという材質ですね。くわしくは SS400とS45Cの違いにて。 

使いにくい場面もあるが、JIS検索のウェブページは必ずブックマーク推奨 

 JISは万能ではありませんが、百科事典のように使うのがいいでしょう。みなさん辞典は初めのページから順番に読まずにピンポイントで使いますよね。それと同じ使い方を推奨します。

 ここ数年くらいでインターネットで無料で検索できるようになっています。機械設計者としては登録必須なのではないでしょうか? 

日本産業標準調査会:データベース検索-JIS検索

 機械設計して、わからないことが出てきたらWEB検索とJIS検索はやってみるといいかもしれません。

WEBで規格は見れるが、購入する必要がある場合もあり

 上記サイトからJIS規格の回覧はできますが、どうしても購入しなければいけない場合があります。

規格の「解説」を確認したいとき

 JISを購入することの最も大きな目的が巻末の「解説」の確認です。解説には該当する規格ができた経緯や計算式の根拠などを示している場合があるため、より規格について深めたい場合は必ず目を通すべきです。ハンドブックには載っていない情報ですので買うかJIS(JSA)の有料会員になる必要があります。

古い規格を参照したいとき

 WEB上で見られるのは最新の規格のみです。JISは頻繁に更新されるものもあるので、ちょっと前のものが見たいとなると、WEB上では確認できません。有料会員になれば見れると思いますが、詳しくは割愛します。

そうするとハンドブックの価値って・・・ 

 これらのことを総合すると、最新版はネットで見れるし、規格の「解説」も見れないので、ハンドブックっていらないのでは?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、一概にいらない!とは言えません。

ある年代の規格をまとめて確認できる

 ハンドブックは発行年の規格を分野ごとに網羅しているので、WEBでは確認できない旧規格が網羅されている可能性があります。

ハンドブックにはおまけがある場合も

 ハンドブックの巻末の付録には資料集のようなものがついています。例えば鉄鋼Ⅰというハンドブックには、先ほど述べた機械的性質が規格に規定されていない材料の引っ張り強さが載っています。痒い所に手が届く情報がある場合もありますので、一概にいらないとはいえませんね。

まとめ

JISはいろいろ言ったけど結局役には立つので

とりあえずみてみよう!

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